2017/03/13 00:32

庭の梅が満開になりました。

最近はとてもよく花を咲かせてくれますが、初めてこの梅をみた時は、4本の枝にぽつんぽつんと花が咲いただけでした。
手入れをしなかったため幹は伸び、葉ばかり茂り、このままでは自分が梅だってことを忘れてしまうのではないかと思い
剪定の仕方もわからないまま、とにかく手を入れました。

そうしているうち、少しずつ花の数が増え
今年はこれまでにないくらい、沢山の花を咲かせてくれたのです。


沢山咲いてくれたお祝いに
花を終えても梅と一緒にいられるよう、何か作れないかと考えたものの
初めての植物を使う時は、毒性から調べなくてはなりません。

梅の実についてはさまざまな薬効が知られていますが、梅の花についての記述は乏しく
ようやく見つけた普賢会様の記事「梅花」では
https://www.fugenkai.net/%E9%81%93%E8%8D%89%E6%9C%AC%E8%8D%89/
≪本草綱目≫
開花直前の花蕾(からい)を乾燥した物を白梅花(はくばいか: 微シ酸ク渋シ、毒ナシ )と呼んで、立派な生薬の扱いです。効能としては「胃ヲ開イテ鬱滞ヲ散ラシ、津液ヲ生ジ、痰ヲ化シ、神ヲ安ンジ魂魄ヲ定メ、痘毒ヲ解ス。」と書かれているので、健胃,解毒,鎮静剤といったところでしょう。
≪本朝食鑑≫

「その純香・純清の気は、よく一元胚胎の穢毒(わいどく: 根元から生じてくるいろいろな毒)をはらう」とありますし、また「梅や桃杏(とうきょう: モモとアンズ)の花の煎湯で面を洗うが、こうすればただ香潤眙顔(こうじゅんちがん: 顔の肌がつややかになる)となるだけでなく、黒子(ほくろ)・粉刺(にきび)の類をも取り去るのである。」と書かれています。

微シ酸ク渋シ、毒ナシ。
生薬としての薬効も期待できそうです。

梅の香りが一番強まる朝に花を摘み、花を選別していきます。
蕾のもの、咲き始めのもの、咲ききったものの3種類に分け
フレッシュで色と香りの濃い、蕾から咲き始めのものを魔女汁に使い
咲ききったものをインフューズドオイルに使います。
このとき咲き進んで花粉がでているものは取り除くか、花弁だけを使います。
選別に一番手のかかります。


このようにしてつくられた薬酒と


朝日を浴び、ゆっくりと花の香りを移したグリセリンを使い


魔女汁に仕上げていきます。
魔女汁ベースです。 香料を使わなくてもしっかり花の香りが移っています。

梅の花の香りには
神ヲ安ンジ魂魄ヲ定メ
穢毒(わいどく: 根元から生じてくるいろいろな毒)をはらう
といった記述のとおり、毒をはらい、気を鎮め整える力(浄化やリフレッシュ効果)があるように思います。


魔女汁は保存が効かないため一度に沢山は作れませんが、また作りたい汁のひとつになりました。


さらに、花の香りを移したインフューズドオイルで

こんなものも作りました。

熟成期間中ですが・・・
仕上がりがとても楽しみです。