2018/03/29 23:59


私の父は若い頃、雪山で死にかけたそうです。
仲間に一升ビンの酒を注がれ(父は酒が飲めないのでむせ返り
頬を叩かれ、なんとか意識をとりもどしたそうですが
遠のいていく意識のなかで目にした風景が
大きな川の向こうにひろがる、一面の菜の花畑だったそうです。

菜の花畑には父母や懐かしい人々がおり、駆け寄ろうとすると
「こちらに来ては駄目です」と険しい表情で制止されたそうです。

当時を振り返り
あやうく向こう岸に渡ってしまうところだった。
あれが三途の川といわれるものではなかったろうか。
そう語っていた父も、今では川向こうの人になってしまいましたが。

臨死体験をした人の体験には、よくお花畑の風景が登場します。
一説ではこちらの人が仏前に供えた花や手向けた花が、あちらの世界の花になるともいわれたり
また一説では、あちらの世界はこちらが見たい(望む)姿で現れるともいわれ

当時の父の心のふるさと、原風景に菜の花があったのかもしれませんが、
話を聞いて以来、私にとっても菜の花は特別な花のように思えてきました。



菜の花は晴れた暖かい日にとたんに香りを強め
あたりに甘い香りを放ちます。

甘い香りでミツバチを引き寄せるため
私のなかで菜の花のイメージとミツバチはセットで現れ
そのせいかミツバチがつくる蜂蜜のイメージが加わり
実際より甘めの香りに設定されている気もします。


どうやら菜の花の香りは、人によって好き嫌いが分かれるようで
甘く好ましい香りと捉える人と
堆肥のような臭みや、苦味を感じる人もいるようです。

写真は3年前に作った菜の花石鹸ですが

この時初めて
あれっ、石鹸から大根のような苦い匂いがする??
と感じました。

そして菜の花にはどうやら
表の香りと裏の香り、セットで存在するのではないかとも。


表の香りは、晴れた暖かい日に放つ甘い香り。
これは生命活動として、種を残すための生命を引き寄せる香り。
裏の香りは、生命維持機能として放つ苦い香り。
こちらは植物が虫に食べられないようにする役割を果たしているといわれています。

菜の花、キャベツ、ブロッコリー。すべてアブラナ科の植物です。
アブラナ科の植物には、辛み成分であるイソチオシアネートという
成分が含まれているそうです。

このイソチオシアネートは、硫黄化合物の一つで、
ガンを予防する効果があるという報告もされており
この辛み物質が放つ香りを臭いと感じる人もいるようです。


二面性がある香りだからこそ、惹きつけられるのかもしれません。

と、またしても前置きが長くなりましたが
菜の花の甘みと苦味、バランスよく石鹸に採りいれることができたらと
現在試行錯誤しています。


苦味(辛み)成分の少ない花びらだけを使い
ウォッカに浸し、浸けすぎない程度で花を取り除きます。


浸けすぎると、裏の香りが引き出されてしまうので
タイミングが難しいです。
こうして漉しとった黄色い液体
ティンクチャーが石鹸の要になります。

さて、これでどんな石鹸を作りましょうか。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。